稲刈りと脱穀 |
■最近では稲刈りも機械を導入して小人数でおこなうのが当たり前になってきましたが、昔ながらの稲刈りは家族総出の数日がかりの作業でした。人数がたりなければ親戚や近所の人たちに手伝ってもらっておこなわれました。 ■むかしは農家が多かったので、稲刈りの時期になると「農休み」といって小学校が休みになりました。子供の手を借りるほど忙しかったのです。小さい子供は田んぼへお茶やお昼ご飯を運んだり落ち穂拾いをして手伝いました。でも、農家が少なくなった今ではこのお休みはなくなりました。 ■夏にになると、津金の桑原(くわはら)地区の子供たちは害虫駆除もしたそうです。稲が中くらいに伸びた夜、地区の子供たちが集まって、田んぼのすみでムギワラ(麦の柄)に火をつけます。そうすると虫たちが火に飛びこんで燃えてしまうのです。夏の夜の子供たちの行事で、ひと夏に2回ほど行われたそうです。害虫駆除が終わると、子供たちは蛍を捕まえたり、近くの神社や墓地で肝だめしをしたりして遊びました。 参照『山梨県史民俗調査報告書 第一集 上津金の民俗−北巨摩郡須玉町−』平成六年 山梨県発行 |
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稲刈りが終わった田ではタニシの一種であるツボ(ツにアクセント)を採りました。ツボは蜂の子とならんで甲州の二大珍味とされ、味噌汁にして食べます。農薬が広く使われていた頃はツボもいなくなりましたが、有機栽培の田んぼでは今でも採ることができます。 | |
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稲を刈るときの注意点 |
刈り取る田の大きさや刈り手の人数にもよりますが、田んぼのはしからお互いに2グループに分かれて逆方向でおこなうと効率が良いです。刈り取った稲は進行方向の左脇に置きます。 こうすると刈り手にとって稲を置きやすく、稲刈りが手早くできます。 |
1、刈るときの稲の持ち方 | |
下のイラストで、稲の持ち方は左のように持つ。右のようではひじが上がってしまって手元が見えにくいので危ない。親指を切ってしまうこともある。 | |
2、稲の束ね方 |
3株くらいの稲を一つに束ねます。束ねた稲を藁(ワラ)でくるりと巻きます。 ワラらの両端を交叉させて撚(よ)ります。よったワラを輪の中へ通してできあがり。 |
3、稲の干し方 | |
最後に、束ねた稲を乾燥させます。稲の干し方は地方によって様々ですが、山梨ではウシという稲干し具を作ります。 ウシは、右の写真のように、まず3本の木で三脚を2組作って、その上に長い竹竿をのせます。この竹竿の上に刈り取って束ねた稲をかけていきます。 立てるウシの本数は田の大きさによってちがいます。 |
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稲束を半分に分けてウシにかけた後、前の稲束ときっちり重ねて安定させます。 | |
稲を数週間干した後脱穀(だっこく)して、玄米にします。玄米とは、モミからをとっただけで精米していないお米のことです。 |
■脱穀(だっこく) | ||
だっこくは米をカラ(殻)と実に分ける作業で、こちらでは稲扱き(いねこき)とよびます。 稲の脱穀も今では機械で全行程が行われますが、平成8年11月7日(木) に、昔ながらの道具を使って稲扱きを青空の下でおこないました。 まず、干しておいた稲をウシからおろします。 |
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足踏み脱穀機で稲穂からモミガラ(皮のついたままの米)を打ち落とします。 |
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足踏み脱穀機のドラム部です。ここが回転して穀粒を掻き落とします。⇒ |
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落としたモミガラをトウミ(唐箕)に入れてわらくずやちりを取り除きます。 | ||
まだ穂についているモミガラをとるためにたたき棒で叩いて、それをフルイにかけます。一粒もお米を無駄にはしません。 1俵分(60kg)のお米を脱穀するのに3時間くらいかかりました。 |
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昔と今の稲の作り方についてもっとたくさん知りたい人はこちらを見てね(農林水産省が提供する子供のための農業教室へリンクします) |
■ツボ ("ツ"にアクセント) |
ツボはタニシ(田螺)科の淡水産巻き貝で殻口には角質の蓋(ふた)がある。地域によってはツブとも呼ぶらしい。稲の収穫直後や脱穀の頃、ひび割れた土の割れ目に隠れているのを掘って採る。ツボ採りは稲刈りの時の子供の遊び仕事だった。まー、和製エスカルゴみたいなもんです。 タニシは春の季語にもなっているらしく、古くは仮名草子や小林一茶の句にも使われている。 |
聞き書きツボの調理法 |
ツボは食べるときには三昼夜くらい水をかえて泥を吐かせてから調理すること。
食べるとき、楊枝でまわしながら身を抜いていかないとワタ(内臓)が切れてしまう。ワタにはたくさんの子供がいるので食べるとジャリッとして砂や石と間違えるけど、じつはカルシウムたっぷりというわけです。ワタは苦いので嫌いな人もいます。 参考文献:
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(c)津金学校